手軽になった8K360度カメラ「QooCam 8K」実践レビュー
「QooCam 8K」はその名の通り8Kでの静止画/動画記録が可能なVRカメラで、コンシューマー向けの360度VRカメラとしてははじめての製品です。
従来は数十万円以上していたプロ向け機材の8K解像度が、6万7100円(税込み)で入手できるとなれば、今まで360度カメラに興味のなかったユーザーも気になりますよね。
11月に北京で発表されたあと、日本でもInterBEE出展やタッチアンドトライイベントが開催されたりと、実機を目にする機会もありました。
https://japanese.engadget.com/jp-2019-11-10-8k-360-qoocam-8k-12-6-7100.html
しかしハードウェアは量産開始したものの、制御ソフトやパソコン/スマホ用アプリの開発が遅れ、なかなか出荷に漕ぎ着けませんでした…。
試用機は2019年末に手元に届いていたのですが、本体ファームウェアや各種アプリの更新が何度か行われ、やっとレビューできる様な形になりました。
予約購入者のお手元にも届き始めているようです。
本体には2.4インチのタッチスクリーンが搭載されており、スワイプ操作で各種メニューを開いて設定できます。360度のプレビュー画面もくるくる回して画角の確認が可能です。
64GBのストレージが内蔵されており、届いてすぐに使用可能です。さらに外部ストレージとして最大256GBまで対応のMicroSDカードスロットも搭載。高解像度を扱うため、高速なUHS-3を推奨しています。
起動すると冷却用のファンが回転します。これが中々大きな音で最初はびっくりするかも知れませんが、動画撮影時には止まるのでノイズの心配はありません。
8Kの画質は流石にキレイです!
他社製品は4Kや5.7Kほどなので、解像感は明らかに違います。
静止画もJPEG以外にDNG(RAW)記録にも対応しており、RAW現像処理で色調補正も思いのまま。
さらに8枚のDNGデータを記録するDNG8で撮影すれば、より解像感が高くノイズの少ない撮影が可能です。現像処理はちょっと手間がかかりますが、業務用途やここぞという場面で使用したいモードです。
8K動画は30fps。手ブレ補正もしっかり効いており安定しています。さらに4Kでは120fpsのハイスピード撮影も可能です。
しかしスティッチアプリがまだ不完全な印象で、激しく動く場面では繋ぎ目が若干気になりますね…。
とは言え今回の作例は直線的な物体に囲まれた狭い空間なので、360度カメラのレビューとしてはかなり難しい場面です。普通に使う分には大きな問題ではないかも知れません。
スマホアプリにある「SmartClip」も面白いです。作例だけでなく必要機材、撮影シーン、撮影方法などが動画付きで解説されており、誰でも簡単にSNS映えする面白い映像が撮影できます。
そのまますぐに撮影して編集することも、あとから素材を選んで編集することも可能。パラメーターとしては簡単なものなのですが、自分でゼロから作ろうと思うとなかなか面倒なものです…。
チュートリアルもアプリ内に分かりやすくまとめてあるのは初心者にも嬉しいですね。
バッテリーの持ちは45〜50分程度と言う話でしたが、実際に使ってみた印象も大体そのくらいでしょう。バッテリー交換式ではないので、モバイルバッテリーなどの外部電源は用意しておいた方が良さそうです。
初代QooCamの時もそうでしたが、発売当初はソフトが不安定な部分もあります。中国メーカーは割とそんな傾向がある気がします。しかしKANDAOは頻繁にバージョンアップを公開してくるので、使っていくうちに面白いカメラになっていくと思います。そこはハードウェアの持っているポテンシャルに期待したい所です。
小型な8KVRカメラという事で、コンシューマー機ながらも業務用途にも使用できるでしょう。特に狭い空間での撮影や、アクセサリーとして発表されている水中ハウジングを使ったダイビング撮影などで活躍してくれるのではないでしょうか。